第二の創業ともいえる化粧品事業への参画
2000年以降、主力のフィルム事業は、デジタル化の波を受けて縮小していった。そこで、富士フイルムは、その中心事業を化粧品事業などの新規事業に展開していく。第二の創業ともいえる大きな転換期だったが、研究所内は前向きな気持ちであふれていたという。
イノベーション・アーキテクト中村 善貞(以下、中村):
『化粧品をやって欲しい』と言われたときは驚きました。写真フィルム事業縮小は大きな波で、新しい研究開発にシフトしていきました。
研究マネージャー田代 朋子(以下、田代):
富士フイルムが化粧品開発を始めると、そして、自分がその新規事業発足チームに加わると聞いたときは、とても驚きました。本当に富士フイルムができるのか?という不安もありました。
ただ、新しいことをやらなければならない、というのが全社的に発信されていました。私たちは研究所なので、新しいことを始めるというのはすごくワクワクする人たちが多いのです。なので、ピンチというよりはとても前向きな気持ちで活気があふれたという状況でした。
最初の課題は、ナノ化したアスタキサンチンの開発
田代 :肌の老化研究というのが、今まで私が研究してきたインクジェットペーパーの酸化防止剤における抗酸化の研究と非常に密接な関連があることが分かりました。
これは、今までにない化粧品を開発できるのではないかと思って、だんだんワクワクしてきました。
アスタキサンチンという成分は、肌への効果は高いけれども化粧品に配合するのは非常に難しいものです。
しかし、その高い効果をそのまま化粧品に発揮できれば良い化粧品ができるんじゃないかと思いました。
私たちの最初の課題は、アスタキサンチンを小さくナノ化して肌に効果的に届ける*1ナノアスタキサンチン*2を開発するということでした。
ここで、もともと私が研究していた酸化防止剤の研究というのが役立ちました。富士フイルムが、化粧品開発以前から持っていた技術をうまく応用することができた成果です。
*1 角層まで。 *2 うるおい成分。
中村 :ナノテクノロジーを使えば、牛乳も透明にできるのです。
『第二の創業の記者発表』で化粧品事業はスタートしました。アスタリフト ブランドの誕生です。
アスタリフトは、お客さまの富士フイルムへの期待が創りあげたブランドだと思っています。それに応えていくために、私たちは常にチャンレンジし続けなければいけないと思っています。
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R&D統括本部 兼 営業企画本部
ビジネス開発・創出部
イノベーション・アーキテクト中村 善貞
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R&D統括本部 バイオサイエンス&エンジニアリング研究所
研究マネージャー田代 朋子
ホワイト ジェリー アクアリスタ開発の軌跡
*1 アスタリフト ジェリー シリーズ内で唯一美白有効成分を配合。