はじめての糖質ケアと腸活キケンな異所性脂肪と
n-3系脂肪酸のチカラ
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太っていなくても要注意!
キケンな異所性脂肪とは
摂りすぎた糖質は中性脂肪となってカラダに蓄えられます。脂肪の多くは皮下脂肪や内臓脂肪といった脂肪組織に蓄えられますが、実はそれ以外の場所にも蓄積されることが。こうした脂肪は「異所性脂肪(いしょせいしぼう)」と呼ばれ、様々な健康トラブルを引き起こす要因の1つとして注目されています。
食後に血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンの作用によって、血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれたり、肝臓でグリコーゲンという貯蔵型の糖質に変えられたりして、食後に上がった血糖値はもとの値まで下がります。
しかし、筋肉や肝臓に異所性脂肪が蓄積するとインスリンの効きが悪くなってしまうおそれが。また、膵臓や心臓などの臓器に異所性脂肪が蓄積すると、臓器が持つ本来の機能に悪影響を及ぼします。異所性脂肪はそれほど太っていない人のカラダにも蓄積されることが分かっているので、油断は禁物です。
異所性脂肪を減らすには、偏った食事や運動不足を改善することが大切。脂肪のもとになる糖質は、摂りすぎないように気を付けましょう。日常生活の中でカラダを動かすだけでも異所性脂肪は減らせることが分かっているので、普段から意識して動くことがオススメです。
皮下脂肪
皮膚の下に蓄積する皮下脂肪。女性は皮下脂肪がつきやすい傾向があります。内臓脂肪と比べると健康リスクは低めです。
内蔵脂肪
内臓のまわりに蓄積する内臓脂肪。内臓脂肪型肥満は男性に多く見られます。健康リスクを高める要因になるので、内臓脂肪はできるだけ減らすことが大切です。
異所性脂肪
本来、それほど脂肪が溜まるはずのない肝臓や筋肉、心臓、膵臓(すいぞう)などの臓器に蓄積する異所性脂肪。食後の血糖値が下がりにくくなったり、臓器の機能を損なったりする要因になるといわれています。
- [参考文献]
- 田村好史ら: 糖尿病 2016; 59(11): 730-733.
- Takeno K, et al.: J Clin Endocrinol Metab 2016; 101(10): 3676-3684.
- 島袋充生ら: 日内会誌 2011; 100(4): 983-988.
血管の健康に効果あり!?
n-3系脂肪酸のチカラ
カラダに悪いというイメージを持たれがちな脂質ですが、健康のためには欠かせない栄養素の1つ。脂質を健康維持に役立てるには、その「質」に着目することが大切です。脂質の「質」は、脂肪酸という脂肪の構成成分の種類によって決まります。
脂肪酸は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大きく分けられます。飽和脂肪酸は肉や乳製品に多く含まれる脂肪酸で、摂りすぎると血中のLDL(悪玉)コレステロールが増える要因になります。一方、不飽和脂肪酸は植物油や大豆、魚などに多く含まれる脂肪酸です。
なかでも、α-リノレン酸やEPA、DHAなどの「n-3系」と呼ばれる不飽和脂肪酸には中性脂肪値を下げるはたらきがあり、健康のために積極的に摂りたい脂質です。4万人以上の日本人を対象とした大規模な研究でも、n-3系脂肪酸の摂取量が多い人のほうが血管の老化によって起こる病気のリスクが低いことが明らかになっています。
魚はn-3系脂肪酸を豊富に含む代表的な食品。ランチにはカツ定食より焼き魚定食を選ぶなど、意識的に魚を摂るように心がけましょう。
n-3系脂肪酸の摂取目安量
n-3系脂肪酸を多く含む食品
※[]は1回に食べる目安量。数値(g)はn-3系脂肪酸含有量。
- [参考文献]
- 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会報告書,2014.
- 文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会:日本食品標準成分表2015年版(七訂),2015.
- 日本動脈硬化学会: 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版,2017.
- Iso H, et al.: Circulation 2006; 113(2): 195-202.