みなさま、はじめまして。
クレスクの品質保証担当の柳下です。こうしてご挨拶できることを、楽しみにしていました。
私が担当している品質保証業務は、製品づくりのいわば最後の砦。みなさまにクレスクをここちよく使っていただけるよう、製品の中身、容器、表記などあらゆる面の品質保証を、商品開発時から発売後の現在も引き続きおこなっています。
今回は私の自己紹介も兼ねて、「cresc. by ASTALIFT」と富士フイルムのものづくりについて、お話ししたいと思います。
化粧品づくりに可能性を感じて。
現在、品質保証担当として化粧品に寄り添う日々を送っている私ですが、幼い頃は自然科学に興味深々な少年でした。大学では、化粧品や食品への応用を目的とした昆虫およびシルクの研究に取り組み、その頃からスキンケアに対する興味関心をぼんやりと抱きはじめました。
▲夏は登山、冬はスノーボードが趣味。休日はとりあえず山に向かいます!
大学を卒業し就職したのは、複数の化粧品について受託し製造を行う会社でした。しかし、化粧品づくりの奥深さを知れば知るほど、自社で化粧品ブランドをもつ会社で働きたいと思うようになり、別の化粧品メーカーへ転職。ここでは品質保証だけでなく商品企画開発の仕事まで担当しました。ゼロからつくりあげる企画開発の苦労や、ものづくり全体のプロセスを知ったことは、大きな経験値になったと思っています。
化粧品づくりのいろはを知り、もっと自分にできることはないだろうかと考えていたところに、富士フイルムへの入社が決まり、間もなくクレスクのプロジェクトメンバーにアサインされました。
大切にした、ものづくりの哲学。
企画やデザインをはじめて見たときから、クレスクの持つ「個性」や「世界観」がとても魅力的だなと直感的に感じました。それらを余すことなくカタチにするためには、商品の品質を担保することはもちろん、ブランドの持つコンセプトやデザインの魅力を大切にしながら、それらを使うひとの「ここちよさ」にまで繋げることが今回の私の役割であると、プロジェクト開始当初から強く思っていたのです。
また、クレスクは富士フイルム初の敏感肌向けブランド。商品設計に、当社初の仕様も少なからず含まれており、あたらしい品質保証体制の構築は必須でした。
富士フイルムは、写真のフィルムづくりをルーツに持つ会社。その長年に渡る歴史の中で培われてきた品質保証の哲学は、とにかく厳格、の一言につきます。
写真フィルムはその瞬間しかないお客様の思い出を残すためのものなので、現像した後に実はフィルムが不良品できちんと映っていなかった、なんてことはあってはならないんです。安定した、信頼できる品質の製品をお客様へお届けするために、考えられるすべてのリスクに眼を光らせながら製品づくりが進められていきます。
当時入社したばかりの私は、そんな富士フイルムのものづくりへの姿勢に慎重すぎるのではないかと戸惑うこともありました。しかし、同じ部署の同僚やプロジェクトメンバーとコミュニケーションする中で、みんな、ものづくりに対して正直に取り組んでいるからこそ、ここまで慎重なのだなと気づいたんです。時間をかけて全方位に意識を配ること、心を込めて一つひとつの課題をクリアしていくことは、つまり、未来のユーザーと誠実に向き合うことでもあるのだとハッとさせられ、クレスクの一翼を担う使命感が一層強まりました。と同時に、模索していた品質保証体制の在り方も、それから自ずと見えていきました。
可能性と実現性の橋渡し役として。
化粧品には、薬機法をはじめ多くの守るべき基準やルールが存在するため、それらに反しているアイデアやモノは、どんなに素晴らしくとも安全や品質の面からNGの判断を出さなければなりません。そこで、NGをどれだけOKに転換するアイデアのサポートができるか。品質保証の本質は、可能性と実現性の橋渡しを担うことにあると私は考えています。
クレスクの開発において私が大切にしていたことは、プロジェクトメンバーの「こういうことがやりたい」「こんなパッケージにしたい」という「作り手のビジョン」と、「使う人の気持ち」の両方にとことん寄り添い、製品化への道筋をサポートすることでした。
肌をここちよく、心を前向きにしていく。クレスクの魅力を敏感肌に悩める方に体感していただけるよう、商品開発、研究所、デザインセンター、それぞれの担当者と一緒に、「ここちよさ」を実装するためのアウトプットを、品質保証の立場から一つひとつ確認していったのです。
たとえばジェリーコンディショナー。見た目の美しさだけでなく、中身の安定性や使いやすさの向上のために、透明なボトルの着色のバランスやジェリーの気泡の量を何度も調整してもらい品質の課題をクリアしました。またジッパー式のパッケージは、手に取ったときのワクワク感の演出だけでなく、クレッシェンドマークの視認性と開封性、そのバランスを試行錯誤して実装に繋げました。
品質保証の仕事は、実際に商品やクリエイティブを生み出すわけではありませんが、自分の提案がメンバーに受け入れられたときには、純粋に嬉しかったですね。みんなでひとつのブランドをつくり上げていくやりがいもひとしおでした。
ここちよさを、支え、届ける。
クレスクのコンセプトにも繋がることですが、スキンケアは肌だけでなく、人の気持ちにまで寄り添うことのできるプロダクトだと思います。振り返ってみると、これまで自分はそうした化粧品の持つチカラに魅せられて、この仕事を続けてきた気がします。
品質保証の仕事とは、製品に「信頼」を宿すこと。あまりスポットの当たらないところかもしれませんが、それを当たり前にお届けすることにこそ、品質保証の醍醐味があると私は思います。
これからも、みなさまにクレスクをお使いいただき、ここちよさをお届けできるように。
安心という当たり前を守りながら、引き続き品質面でしっかりとサポートしていきます。
Profile
柳下良平 Ryohei Yagishita
コンシューマーヘルスケア事業部
品証薬事グループ
化粧品業界内で様々な経験を積んだのち富士フイルムに入社、現在は化粧品全般の品質保証を担当。行先も決めずにドライブするのが最近のハマり。