STORY

2022.11.04

<cresc.の人 vol.5>
はじめまして研究開発担当の古田です。

研究開発担当の古田です。

みなさま、はじめまして。
クレスクの研究開発担当の古田です。

普段はスキンケア部門の研究員として、様々な環境・ストレスによる肌への影響を解明したり、製品に配合する成分の有効性を評価し製品開発を行ったりしています。

「cresc. by ASTALIFT」は、ゆらぎがちな肌のメカニズム解析からスタートし、とことん乾燥・敏感肌に寄り添うことを目指したブランドです。今回はそんなクレスクに込められたサイエンスについて、開発の裏話とともにお話しします。

INDEX

※角層のしっかりとしたお手入れのこと。

「敏感肌」の根本原因に向き合いたい。

今ではよく聞く「敏感肌」という言葉ですが、実は学術上、その定義は明確になっておらず、詳細なメカニズムは未解明のままでした。肌荒れが起きる環境要因としては、一般的に乾燥や紫外線による刺激などが挙げられますが、敏感肌という状態が本当は何によって引き起こされるのかは、明らかにされていなかったのです。クレスクの開発に伴い、私たちは「どうして肌はゆらいでしまうのか?」、その根本原因を突き止めることからはじめました。

「敏感肌」の根本原因に向き合いたい。

肌って、思っている以上に変化に敏感なんですよね。私自身も仕事が終わって家に帰ってきたときに鏡を見ると、自分の顔がすごく疲れていたり、季節の変わり目や忙しい時期に肌荒れしたりすることが多くて。

「肌には日常のストレスが現れやすい」という実感はあったものの、果たして「自分の肌が何に反応しているのか」といった原因については、深く見つめ直したことがありませんでした。なので、私自身の気持ちとしても、これまで漠然としていた「肌がゆらぐメカニズム」を今こそ解析せねば、と自然に使命感を持ちました。

また実際、敏感肌に悩む方が年々増えているという事実も、私を後押ししました。今求められているスキンケアを、あたらしく、一から生み出したい。そんな思いを抱きながら、クレスクの研究開発の第一歩を踏み出したのでした。

着目したのは、肌と湿度の関係。

肌がゆらぐ原因のひとつとして、私たちは「肌と湿度の関係」に着目しました。皆さんもマスクの着脱機会が増えたり、季節の変わり目になると肌が乾燥したり、ニキビや毛穴が開きやすくなったりといった、肌トラブルを実感することが多いのではないでしょうか。私たちはそれらを引き起こす原因が、「湿度差」にあると考えたのです。

ただ「乾燥したら肌トラブルが起こるのはあたりまえ」、といったイメージが先行していたため、湿度による肌への影響についてはこれまであまり研究が進んでおらず、未開拓の研究領域でした。データどころか湿度ストレスを検証するめの機器すらないという状態だったため、自分たちでつくることに。正直、研究を始める前の試験装置づくりに苦労しましたし、その後の試験段階もトライアンドエラーの繰り返しでした。

それでも諦めなかったのは、「あらたな事実」を自分の手で明らかにしたいという研究者としてのプライド、そして開発者として敏感肌に悩む方に対して、誠実に向き合いたいと強く思っていたからです。

着目したのは、肌と湿度の関係。

クレスクを担当する前は、アスタリフトの製品開発を手掛けていたのですが、その過程で「事実を自分たちで確かめること」と「使う人の視点で考えること」の大切さを思い知りました。

今、スキンケアの情報も商品も世の中に溢れています。だからこそ、生み出す商品には自分たちの手で解明した事実をもって、ユーザーに求められる「あらたな価値」を提供することが開発のミッションであると、クレスクの開発初期からずっと心に留めていたのです。

日々、あたらしいものを生み出す責任感を強めながら、敏感肌に悩む方に寄り添う試みもいろんな方法で重ねていきました。たとえば、一日中、湿度計を持って生活したり、あらゆるシーンの湿度を調べたり…今では大体の場所の湿度は分かるようになったんですよ。顕微鏡を覗くだけでなく、自分自身の肌でも湿度の影響を確かめながら、クレスクが持つべき機能や要素を探っていきました。

土台から整え※1、ゆらぎにくい肌へ。

自分たちで構築した試験装置を使って実験を重ねた結果、湿度の変化によって肌のバリア機能に重要な「アシルセラミド」を生み出す酵素が減少してしまうことが敏感肌の原因のひとつである、という事実を突き止めました。セラミドは肌の角層に存在する成分のことで、「肌のうるおいを保つ」ことと「刺激から肌を守る」という2つの機能を持っています。

そこでクレスクには、富士フイルム独自の技術で世界最小クラス※2までナノ化したセラミド※3を配合しました。肌のすみずみまでセラミド※3を行き渡らせ、ゆらぎにくい肌に誘います。また、肌を整える成分として八十種余りの候補成分から選りすぐった「チャ葉エキス」も配合し、キメの整った肌を目指せる設計としています。

ただ与えるだけのスキンケアではなく、土台から整え※1、ゆらぎにくい肌へと誘う。それが、私たちがクレスクに込めたこだわりです。

土台から整え※1、ゆらぎにくい肌へ。

クレスクが完成したとき、研究者として大きな達成感を感じました。と同時に、研究職を志した学生の頃の気持ちを思い出したんです。ずっと「カラダの中」や「皮膚科学」に興味を持ち続けていましたが、大学卒業後は医療の道に進むことも考えていました。

それでも最終的に研究開発の道を選んだ理由は、様々なジャンルの研究者やプロフェッショナルたちと一緒に、何かあたらしいものを見出したい、つくり上げたいと強く思ったからです。入社前に抱いたその初心を貫き通した結果、今の自分がいるのだと考えると感慨深いです。

クレスクにまつわる今回の研究結果には、私ひとりの力では決して辿りつけませんでした。研究開発に関わったメンバーには、本当に感謝しています。

※1 角層のしっかりとしたお手入れのこと。
※2 国内外論文、国内特許の富士フイルム調査結果。2023年5月12日時点。
※3 セラミドEOP、セラミドNP、セラミドAP(すべて整肌成分)

サイエンスの力で、寄り添っていく。

クレスクを世の中に送り出してからも、引き続きスキンケアや皮膚研究に励んでいますが、より「あたらしい視点」を意識しながら課題に向き合うことを大切にしています。あたりまえの中にこそ、思いもかけなかった発見や発想に繋がるものが潜んでいる。それらを解き明かし、サイエンスの力で誰かの心や暮らしを前向きにし続けていくことが、研究者としての私の終わらない挑戦です。

皆さまからのお声やフィードバックを見ると、乾燥・敏感肌に悩む方々の手にクレスクが届いているようで、胸がいっぱいになります。家族や友人からも「使ったよ」「よかったよ」といった声を多く聞くので、自信をもって皆さまに使っていただける商品にできたと思っています。

これからもクレスクのように多くの方に愛用いただける商品をつくるために、研究を続けていきたいです。

古田美波 Minami Furuta

Profile

古田美波 Minami Furuta

バイオサイエンス&エンジニアリング
研究所

入社時より皮膚科学研究室にてメラニンを中心とした研究に携わり、クレスクにてエビデンス開発を担当。最近の趣味はテニスとプロ野球観戦。