BEAUTY

2023.03.31

美しさへとつなぐ“よい眠りと目覚め”

美しさへとつなぐ“よい眠りと目覚め”

皆さんは、毎日快眠できていますか?不眠と言われている人は今や成人の5人に1人と言われています。60歳以上の方においては3人に1人が悩みを抱えるという国民病の一種です。
今回は、健康的な心身、そして美しさへとつなぐための快眠のヒントをご紹介します。

教えてくれたのは……

西川ユカコさん

睡眠研究家

西川ユカコさん

出版社の編集者を経て、現在は家業である昭和西川株式会社 代表取締役副社長を務める。睡眠研究家としてメディア出演や講義などを行うほか、ホテルなどの施設に睡眠環境の提案を行う。著書に『最強の睡眠』(SBクリエイティブ)がある。

INDEX

良質な睡眠のカギは、“朝と日中”にもあった

「良質な睡眠を得られるかどうか、それは“朝と日中”の段階ですでに決まっています」。そう語るのは、睡眠研究家の西川ユカコさん。メディアで紹介されている快眠法の多くが夜のアクションに集中しているだけに、この言葉に驚かれた方も多いでしょう。その理由について伺いました。

キーワードは「体内時計」と「メラトニン」

「就寝2時間前までの夕食や浴槽浴など、就寝時間に向けてのプロセスはもちろん大切ですが、それだけでは不十分。快眠のために重要なのは、①体内時計を整える、②メラトニンを増やすことです」

体内の親時計、子時計を整える

「まず『体内時計』について。これはよくオーケストラに例えられます。親時計はいわば指揮者、そして子時計は演奏者。まずは朝10時頃までに太陽の光を網膜に感じることで、脳にある親時計を整えることが大切です。さらに、体に無数に存在する子時計を正常に動かすために、朝食を摂ることも大切。朝食は、親時計の指揮に合わせて子時計がきちんと動くためのスイッチになるからです。朝、お腹が空かないという方の大半は、睡眠の質もよくないことが多いので、夕食の量やタイミングを見直して朝食を楽しみに起きられるようにしてください」

メラトニン増産で快眠

もうひとつのキーワード、「メラトニン」とは、脳と体を休めるための「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。これをいかに増やすかも快眠への大きな近道につながります。

「快眠に必要不可欠なメラトニンですが、残念なことに35歳頃には、10歳前後のピーク時に比べ、約1/4にまで減少します。でも、増やすことは可能。そのカギとなるのが、神経伝達物質の一種であり、幸福ホルモンと呼ばれる『セロトニン』を増やすことです。セロトニンは、日が暮れるとメラトニンに姿を変える性質があります。つまり、日中は機嫌よくいられ、夜はぐっすりと眠れるというW効果が期待できるのです。セロトニンの分泌は、体内時計のリセット法と同じく、太陽の日差しを網膜に感じることで促進されるので、日焼けに注意しながらも、日中も適度に太陽を浴びることが大切。次ページにセロトニンをチャージするためのヒントをまとめましたので、ぜひ、日々の生活に取り入れてみてください」

快眠へと誘う朝・昼・夜の過ごし方ヒント

「ここでは、すぐに実践できる!良質な眠りへと誘う、朝・昼・夜の過ごし方のヒントを西川ユカコさんに教えていただきました。

5分以上の日光浴でセロトニンをチャージ

5分以上の日光浴でセロトニンをチャージ

「先にもお話ししたように、体内時計を整えるためにも、そしてメラトニンに変わるセロトニンを増やすためにも、朝、太陽の光を浴びることはとても大切です。ポイントは最低5分以上の時間をかけること。例えば、朝食をテラスで摂る、ベランダでストレッチなど、部屋の中で行っている朝のルーティンを外で行うのもおすすめです。また、室内ならば、ご自宅の一番明るい部屋の窓を開放し、その1m以内でメールチェック…など、皆さんの生活スタイルに応じて実践してみてください」

リズム運動でセロトニンを増産。香りや音でストレスフリーに

リズム運動でセロトニンを増産。香りや音でストレスフリーに

「セロトニンは不安やイライラなどを払拭し、落ち着いた気持ちにしてくれる効果も。ジョギング、水泳、サイクリング、ヨガ、フラダンスなどのリズム運動でも作ることができます。また、ペットとの触れ合いや、友人とのおしゃべりなども◎。並行して、ストレスホルモンのコルチゾールを減らすために、鳥のさえずりや水の流れなどの音、リラックスしてパフォーマンスを上げる香りなどをうまく用いて日中を心地よく過ごしてください」

灯りを落とし、寝仕度を早めに

灯りを落とし、寝仕度を早めに

「夜はご自愛タイム。朝と昼間に作ったセロトニンがメラトニンに変わっても、夜、明るい環境にいるとメラトニンは減少してしまいます。夜は早めに照明の明るさをコントロールしましょう。メラトニンは100ルクスの照明の光を浴びただけで減るとも言われていますが、一般的なご家庭の夜の灯りは200〜500ルクスほどというのが実情。ワット数の低い電球を使う、間接照明にするなど、できるだけ早い時間から薄暗くして、入眠の準備を」

良質な睡眠を心がけ、健康的な心身、そして美しさを手に入れましょう。