良質な睡眠のカギは、“朝と日中”にもあった
「良質な睡眠を得られるかどうか、それは“朝と日中”の段階ですでに決まっています」。そう語るのは、睡眠研究家の西川ユカコさん。メディアで紹介されている快眠法の多くが夜のアクションに集中しているだけに、この言葉に驚かれた方も多いでしょう。その理由について伺いました。
キーワードは「体内時計」と「メラトニン」
「就寝2時間前までの夕食や浴槽浴など、就寝時間に向けてのプロセスはもちろん大切ですが、それだけでは不十分。快眠のために重要なのは、①体内時計を整える、②メラトニンを増やすことです」
体内の親時計、子時計を整える
「まず『体内時計』について。これはよくオーケストラに例えられます。親時計はいわば指揮者、そして子時計は演奏者。まずは朝10時頃までに太陽の光を網膜に感じることで、脳にある親時計を整えることが大切です。さらに、体に無数に存在する子時計を正常に動かすために、朝食を摂ることも大切。朝食は、親時計の指揮に合わせて子時計がきちんと動くためのスイッチになるからです。朝、お腹が空かないという方の大半は、睡眠の質もよくないことが多いので、夕食の量やタイミングを見直して朝食を楽しみに起きられるようにしてください」
メラトニン増産で快眠
もうひとつのキーワード、「メラトニン」とは、脳と体を休めるための「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。これをいかに増やすかも快眠への大きな近道につながります。
「快眠に必要不可欠なメラトニンですが、残念なことに35歳頃には、10歳前後のピーク時に比べ、約1/4にまで減少します。でも、増やすことは可能。そのカギとなるのが、神経伝達物質の一種であり、幸福ホルモンと呼ばれる『セロトニン』を増やすことです。セロトニンは、日が暮れるとメラトニンに姿を変える性質があります。つまり、日中は機嫌よくいられ、夜はぐっすりと眠れるというW効果が期待できるのです。セロトニンの分泌は、体内時計のリセット法と同じく、太陽の日差しを網膜に感じることで促進されるので、日焼けに注意しながらも、日中も適度に太陽を浴びることが大切。次ページにセロトニンをチャージするためのヒントをまとめましたので、ぜひ、日々の生活に取り入れてみてください」