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2023.05.26

公妃となったハリウッド女優
グレース・ケリー

公妃となったハリウッド女優

©Album / Cynet Photo

ACTOR

グレース・ケリー

1929年、米国フィラデルフィア生まれ。18歳よりNYで演技を学び、1952年に『真昼の決闘』で注目を浴びる。1954年には『喝采』でアカデミー賞主演女優賞を受賞。1956年にレーニエ3世と結婚し、モナコ公国の公妃となる。1982年、交通事故で逝去。

気品あふれる個性を引き立たせる装いで世界中の人々を魅了

ハリウッドのスター女優から、モナコ公妃となったグレース・ケリー。「クールビューティ」と呼ばれた美貌に加え、『喝采』でアカデミー賞主演女優賞に輝いた演技力の持ち主でした。

グレースのあふれる気品を引き立たせるファッションは、人々を魅了。約169㎝の長身でモデル経験もあった彼女は、類まれなセンスとポージングの美しさを兼ね備え、スクリーンの中はもちろん、オフの姿も注目を浴びました。

女優時代の彼女の魅力を引き立てたのが、アカデミー賞衣装デザイン賞に8度輝いた衣装デザイナーのイーディス・ヘッドです。映画『裏窓』で、イーディスがデザインした通称「レジェンドドレス」は大きく胸元が開いているにもかかわらず、グレースのエレガントな個性が際立ち、話題を呼びました。

モナコ大公レーニエ3世との結婚式で着たウエディングドレスも大きなニュースになりました。何千個もの真珠が縫いつけられたバラの刺繍入りレースのドレスは、「ベスト・ブライダル・スタイル」ともいえるものです。また、妊娠中のお腹を隠すのに使ったエルメスのバッグが後に「ケリー」と改名されたことでも話題を集めました。

気品あふれる個性を引き立たせる装いで世界中の人々を魅了

©Avalon / Cynet Photo

▲20世紀最大のシンデレラ・ストーリーとなった結婚は「世紀の結婚式」と呼ばれた。

公妃となってからは、カジノに依存していたモナコの経済を立て直すために、大公とともにさまざまな事業を指揮。文化関連や福祉事業で大きな実績を残しました。その気高さは今も多くの人々の尊敬を集めています。

美への影響

可憐でナチュラルな押し花のモチーフが今なお人気

可憐でナチュラルな押し花のモチーフが今なお人気

©Alamy / Cynet Photo

花が咲き誇るモナコの自然を愛したグレース公妃は押し花が趣味で、そんなナチュラルな一面もモナコの人々に愛された理由の一つでした。彼女の押し花作品をもとにピアジェが美しい花柄のスカーフを発表しています。また、グッチも彼女のためにフラワーモチーフの「フローラ」デザインのスカーフを製作し、それは今もメゾンを代表するデザインとなっています。

Text:森 菜穂美