ART

2022.08.26

自然体の魅力を持つ知性の人
アンディ・ウォーホル「マリリン」

自然体の魅力を持つ知性の人

©akg-images / Cynet Photo

絵画に描かれた美しい人々、装い、ヘアメイクの中には現代を生きる私たちの美の感性を刺激するヒントがたくさんあります。

今回はウォーホルの作品からマリリン・モンローの生涯をたどります。

ACTOR

マリリン・モンロー

1926年生まれ。幼時に里子となる。映画『ナイアガラ』『紳士は金髪がお好き』などでスターに。野球選手ジョー・ディマジオ、劇作家アーサー・ミラーと結婚するも長続きせず、うつや薬物依存に苦しむ。62年の突然の死は、自殺から謀殺まで諸説あり。

美に対して妥協せず努力と研究を重ねた

上の作品は、ゴージャスな金髪に深紅の唇、青いアイシャドウに彩られ、きらびやかなスターのオーラを放つマリリン・モンローのポートレート。彼女の死を知ったアンディ・ウォーホルは、即座にパブリシティ用の写真を取り寄せて、大胆な彩色を施しました。この作品が何百万枚も売れ、彼の代表作の1つとなることに…。

美に対して妥協せず努力と研究を重ねた

©Spectrum / Cynet Photo

▲ハリウッドにあるTCLチャイニーズシアターには、彼女の手形が残されている。

「マリリン」の微笑は、エージェントに「上唇を下に伸ばす感じで笑ってみたら?」とアドバイスされ、練習を重ねて生まれたもの。濡れたような魅力的な唇を作り上げるために、数種類の口紅を重ね塗りしたそうで、どこかぎこちない微笑が愛らしくも感じられます。また、美しいプロポーション作りのために解剖学を勉強し、当時では珍しくウエイトトレーニングも行うなど、美の追求への妥協がありませんでした。

セクシーな女優のイメージとは裏腹に新しい女を目指した

世紀のセックス・シンボルとして有名ですが、内面的な美しさ、知性も求めました。29歳のときにニューヨークのアクターズ・スタジオで演技を勉強。「新しい女になる」と自らのプロダクションを立ち上げ、映画もプロデュース。公民権運動を支持し、差別に反対して黒人ミュージシャンを応援するなど、自ら手を差し伸べた優しい面も。

ファッションアイコンでもあり、ドレス姿が印象的ですが、ジーンズなどの普段着姿も愛らしく着こなしました。その自然体の魅力はまねしたくなるほど小粋で、美しく輝いています。

美への影響

女性らしいシルエットで着こなすジーンズ姿も流行に

女性らしいシルエットで着こなすジーンズ姿も流行に

©Photo12 / Cynet Photo

カジュアルなファッションも得意なマリリンは、女性がジーンズを穿くのが珍しかった50年代に「リーバイス701」を穿いて、流行アイテムに。スタイルをよく見せる、ハイウエストでヒップを強調する女性らしいシルエットで着こなしました。彼女も愛用したハイネックやボーダーシャツとの組み合わせは年代を問わず、今でも女性の魅力を引き出してくれます。

Text:森 菜穂美